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バイトダンス傘下のEdTechサービス紹介1ー英語教育|中国EdTech#42

Tiktokを運営するスタートアップのバイトダンスが、今最も力を入れている領域の一つがEdTechです。バイトダンスは2018年にEdTech分野に本格参入して以降、激しい競争にさらされながらも、ここ数年で急速に業界でのプレゼンスを高めてきました。バイトダンスの今後を占う上でEdTechは注目すべき領域です。
前回では、バイトダンスのEdTech業界参入の沿革について解説しました。今回からは4回に渡って、分野ごとにバイトダンスのEdTechサービスを紹介していきます。
シリーズ第一弾である今回のテーマは、EdTech業界での市場も大きく、競争も激しい英語教育分野です。

今回扱うトピック

・バイトダンス傘下の英語サービス概況
・開言英語
・英単語学習アプリ
・AI英語学習アプリ
・湯圓英語
・マッチング機能
・英単語学習機能
・AI英語学習機能
・GoGokid
・おわりに

バイトダンス傘下の英語サービス概況

教育業界においてバイトダンスが最も力を入れるジャンルの一つが、最も市場規模の大きいジャンルの一つである(特に子ども向けの)英語教育です。まずはバイトダンスがオンライン英語教育分野において展開しているサービスの概況を解説します。


出典:36Krをもとに筆者作成

上の表は、バイトダンスがオンライン英語教育分野において展開しているサービスをリリースの時系列順にまとめたものです。2018年4月に開言英語は買収によって傘下となったサービスで、それ以外の英語サービスはすべて自社で開発したものです。

ジャンルとしては、AI英語学習アプリという比較的新しいジャンルのサービスが四つあり、それ以外は英単語学習、1対1ライブ授業、オーディオ学習、マッチングアプリなど様々な種類があります。

開言英語

一番最初に買収した英語サービスは、開言英語という、オーディオ英語学習アプリです。これは英語学習用のポッドキャストのようなものです。アプリ上には大量の英語音声教材が用意されており、それらには単語の予習セクションがあり、音声再生中はリアルタイムで流れていくスクリプトと音声終了後の確認テストや文法・語法解説がついており、かなり学習しやすい仕様となっています。

英単語学習アプリ

読白背単詞は英単語学習アプリで、単語カードをひたすら暗記するのではなく、動画形式で楽しく単語を学部ということをコンセプトにしています。湯圓英語も英単語学習専用のアプリではありませんが単語学習機能を持っていますので、後ほど詳細を解説します。

AI英語学習アプリ

バイトダンスはAI英語学習アプリというジャンルのサービスを4つ(AIkid、瓜瓜龍英語、開言簡単学、湯圓英語)を自社開発でリリースしています。AI英語学習アプリとは、録画された英語学習コンテンツがアプリ上で配信され、生徒がアプリ上で発音のテストをしたりクイズに答えたりした内容に応じてAIが最適な学習カリキュラムを作っていくというものです。

バイトダンス傘下の4つのAI英語学習アプリは対象とする年齢層が異なり、瓜瓜龍英語は2~8歳向け(啓蒙教育と呼ばれます)、AIkidは小学生向け、開言簡単学はそれ以上の年齢層をそれぞれターゲットとしています。湯圓英語は、特に対象年齢を指定していませんが、マッチング機能などやTikTok風のUIなどから推測すると、おそらく中高生〜30代くらいの若年層がメインのユーザーではないかと考えられます。

湯圓英語

湯圓英語は、英語学習者のマッチング機能・英単語学習機能・AI英語学習機能の三機能を搭載した複合的な英語学習アプリです。以下ではそれぞれの機能について、筆者が実際にアプリを使ってみた際の画面とともに解説します。

マッチング機能

マッチング機能は、マッチングアプリTinder(アメリカ)やTantan(中国)に似ており、顔写真・年齢・自己紹介等を見て「好き」(ハートのボタン)か「嫌い」(バツのボタン)を次々と押していき(かわりに、左右にスワイプでも可能)、お互いが「好き」を押し合うとマッチし、メッセージが送り合えるようになります。他の英語学習者とマッチするとビデオチャットで英語を練習できます。

マッチング機能を利用し始める際、まずは自分の性別とマッチしたい人の性別を選びます(左図)。この設定が終わるとすぐに右図のように他のユーザーの顔写真が表示され、上述のように選別をしていきます(この図では顔を名前を隠していますが、筆者の編集によるものです)。顔以外の情報は年齢と性別と星座のみ表示されています。また右下の黄色のボタン(英文闪聊)を押すと、リアルタイムでオンラインの人とランダムにマッチングされ即座にビデオ通話ができます。

マッチした相手とビデオ通話をする際、開始数分は英語のスキットが表示されロールプレイする必要があり、それが終了すると自由におしゃべりができます。スキットは、1文ずつ表示され、それをお互いに交代で読み上げ、即座に入力された音声にAIが得点をつけ、80点以下の場合は80点を超えるまで繰り返し読み上げさせられます。

英単語学習機能

英単語学習機能には、日常・受験・IELTS、中国版の英検などの単語学習コンテンツが用意されています。学習開始時に1日に暗記する単語数を決め(左図)、毎日プッシュ通知でそれを達成するよう促されます。

単語は3択の問題で意味を問われ、わからない場合や不正解だった場合はその単語が使われている解説動画を視聴します。

右下のハートボタン(いいね)やシェアボタン、そして左下の英単語とその解説が表記されているUIがTiktokのそれに酷似しており、またコンテンツもTiktokでバズりそうな動画が多いです。左図の解説動画は、英語圏のコメディーショーの1シーンからの抜粋で、笑いのツボも同時に学ぶことができ、単語の意味も印象に残りやすいです。右図の動画は印鑑という意味の単語の解説動画で、超高速で印鑑を書類に押す動画になっています。この動画はTiktokでよくみられる、見ていて気持ちいい類の動画です。こちらも印象に残りやすく単語学習には効果的でしょう。

AI英語学習機能

こちらのAI英語学習機能は、アプリ内では「AIインタラクティブスピーキング授業」と呼ばれています。すなわち、録画された教師の英語学習コンテンツが、時折生徒に対して会話の練習をさせ、AIがその場で次に再生する動画をリアルタイムに変化させるという意味です。

このアプリにおいてAIが活用されているのは、生徒が読み上げた英文に発音を瞬時に採点するときのみです。その点数に基づいて、次に再生する動画が何パターンか用意されていた先生の反応の中から選ばれますが、このアプリが宣伝しているような「AIにより個別最適化された授業」とは実態が異なります。

筆者が体験授業を受けたので、実際の画面を見てみましょう。左図からわかるように、1コンテンツ1分ほどに区切られており、コンテンツの終わりの部分で文の読み上げをテストされます(右図)。

点数に合わせて先生の反応が変わるので、ただ動画を見続ける学習方法よりは飽きづらいように感じます。この読み上げテストは80点を超えるまで繰り返し読み上げさせられます(右図)。

なお、授業コンテンツは選択肢がたくさんあり、先生は動画サイト(特にTiktokにおいて)などの英語教育系インフルエンサーが多いです。これらのインフルエンサーはユーモラスな人が多く、アプリストアでの紹介にも書かれていますが、Tiktokを見ているような感覚で楽しく学べるコンテンツが多いです。

GoGokid

GoGokidはVIPKIDをベンチマークにした、北米のネイティブスピーカーによる1対1のオンライン英語レッスンサービスです。2019年4月にAIkidを吸収し、一つのサービスとなりました。前述の瓜瓜龍英語とGoGokidは注力されているサービスであり、バイトダンス社員の李峰氏によると、GoGokidにはすでに10億元をつぎ込み、瓜瓜龍英語には年内に20億元相当のリソースをつぎ込む予定だとしています。

おわりに

次回の記事では、今回の記事でも触れた瓜瓜龍英語を中心に、バイトダンスの早期教育分野のサービスについて解説します。

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