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中国最大の教育系ユニコーン「猿輔導」のサービス紹介 後編|中国EdTech#39

はじめに

中国EdTechスタートアップの一つである猿輔導は、2020年3月に10億米ドルの超巨大資金調達を完了し、中国において評価額が最大のEdTechスタートアップになりました。猿輔導の提供するサービスは、オンライン授業、宿題補助アプリ、英語アプリなど様々です。前回の記事から二回に分けてこれらのサービスについて解説します。今回は後編の記事で、前編の記事はこちらです。

小猿捜題

小猿捜題は、2014年にローンチされた、問題の写真を撮って解答を検索するアプリです。中国の大学入試では中国語の作文が非常に重要な位置を占めており、これはその作文の対策を想定したサービスです。英語や中国語の作文の写真を撮って添削する機能や、ユーザー同士で質問し合う掲示板のような機能もあります。作文には例題や模範作文例もたくさんついており、また作文の文章構成テンプレートも解説されています。

中国コンサルティング企業のiResearchのレポートによると、2019年9月時点で、小猿捜題のユニークユーザー数は1785万人です。ここから獲得したユーザーを猿輔導の他のサービスへと誘導し、サービス間のシナジーを生み出しています。小猿捜題のアプリには、「猿輔導」というタブが存在し、ここから猿輔導のオンライン授業を購入することもできます。

小猿口算

小猿口算は、2018年1月にリリースされた、AIによる画像認識を活用した数学の添削アプリです。中国全体で小学校の教師や保護者のユーザー3000万人以上を擁し、毎日2億問以上の問題がこのアプリ上で添削されています。

このサービスの強みは、採点精度の高さです。猿輔導によると、小猿口算による横書きの問題の採点精度は99.9%に達しており、人間の平均を上回っています。猿輔導の行った比較実験では、11万問の問題をアプリと人間の教師それぞれに添削させたところ、アプリによる添削は添削ミスが104問、人間の場合は1050問となり、アプリの添削が人間による添削を精度に置いて大きく上回る結果となりました。

実際にどのように動作するのかを確認するために、筆者も小猿口算のアプリで、算数の問題を読み取ってみました。左の画像は問題の写真を取り、読み込んでいる画面です。読み込みは数秒で終了し、右の写真のように緑色のチェックマークで正誤が表示されます。筆者が読み取った回答は全問正解なので、「全問正解です、よくできました」と表示され、この問題および回答のデータはアプリ内に保存され、いつでも復習ができるようになっています。

猿輔導によると、単純な計算問題以外にも、単位変換や方程式などの比較的複雑なものに対応しており、また、問題形式も穴埋めや選択式、正誤判定など様々なタイプに対応しているそうです。

筆者が今回読み取った問題は、活字で書かれた簡単な掛け算の問題であり、実際に読みづらい筆跡や複雑な問題になった場合どれほどの精度で添削ができるかは検証の余地があります。ですが、少なくとも、小学校の教師や保護者が計算問題などの宿題を添削する際には効果的に利用できるでしょう。

幼児向け英語教育サービス「斑馬AI課」

公式サイト:斑馬AI課

斑馬AI課は、2~8才の幼児向け英語学習アプリです。2017年にローンチされ、それまで斑馬シリーズと呼ばれてきた「斑馬英語」「斑馬思維」(ロジック)「斑馬語文」(国語)の3つのアプリが2020年2月に合体して「斑馬AI課」が生まれました。2020年3月の売り上げは、斑馬AI課全体で3億元で、3月時点のユーザー数は50万人でした。

ちなみに、TikTokを運営するバイトダンス社も、料金やUIが斑馬英語によく似た「瓜瓜龍英語」というアプリをリリースしており、斑馬AI課のライバル的存在となっています。

斑馬英語の授業は年間で2800元(約4万2300円)です。月間で計算すると約3525円なので、就学前幼児向けの英語の授業としては比較的安いものと言えます。

斑馬英語の特徴の一つに、AIによる授業があります。毎週金曜日には生身の教師によるライブ授業が行われますが、それ以外の月〜木曜はAIによる授業が提供されています。AI授業とは、アプリ上でさまざまな形式で自動生成された英語のクイズが決まった時間に出されるというものです。具体的には、英語の歌を聴いたり、動画を見て理解を問うたり、単語カードの問題を出したり、絵本を読んだりなど、どれもゲーム感覚でできるもので、乳幼児に適した内容となっています。


出典:斑馬AI課

最後に

日本ではそれほど利用されていませんが、中国では小猿口算や小猿搜題などの学習補助アプリがかなり普及しています。猿輔導は、これらのアプリを用いて広く認知を獲得し、オンライン授業のサービスに顧客を誘導する流れを加速させてきました。また、オンライン授業はメイン講師とチューターの2人体制で低価格で質の高い教育を実現したスタイルや、斑馬AI課のようなAI授業とライブ授業のコンビネーションというスタイルなど、世界的にも例の少ないEdTechの形が生み出されています。これらが日本でも今後どのように導入されていくかにも注目です。

参考資料

猿辅导们的K12教育战场
小猿口算宣布作业批改准确率超过人类平均水平
斑马英语下架了?3大维度全面剖析新“斑马AI课”!

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