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中国最大の教育系ユニコーン「猿輔導」のサービス紹介 前編|中国EdTech#37

はじめに

中国EdTechスタートアップの一つである猿輔導は、2020年3月に10億米ドルの超巨大資金調達を完了し、中国において評価額が最大のEdTechスタートアップになりました。猿輔導の提供するサービスは、オンライン授業、宿題補助アプリ、英語アプリなど様々です。今回の記事では、これらのサービスについて解説します。

猿輔導の基本情報とサービス全体像


出典:36Krより

猿輔導の基本情報


出典:企查查などをもとに筆者が作成

まずは猿輔導の基本情報からご紹介します。猿輔導はオンライン教育に関わる様々なサービスを提供するスタートアップです。創業8年目の2020年3月に大型資金調達を完了し、業界内では大きな話題となりました。前回の記事に資金調達に関する詳細があるので、興味のある方はこちらをご覧ください。中国のEdTechスタートアップとして最大となった評価額に加え、売り上げや知名度の面でも有数の存在です。

主要なサービスは以下の表にある、猿輔導、小猿捜題、猿題庫、斑馬AI課、小猿口算、猿編程です。もともと一問一答アプリの「猿題庫」、解答検索アプリ「小猿搜題」という二つの学習補助サービスから出発し、そこから他のサービスにユーザーを誘導するビジネスモデルをとっています。以下ではそれぞれのサービスについて解説します。

猿輔導

2013年と14年にそれぞれリリースされた猿題庫と小猿搜題という2種類の学習補助アプリは、無料だったことで多くのユーザーを獲得しました。これらに続く有料のサービスとして2015年にリリースされたのが、オンライン授業の猿輔導です。

開講科目に関しては、学校で勉強する科目(英語や数学など)が網羅されており、小学生向けに猿編程というプログラミングのオンライン授業も開講しています。価格としては、科目によって差があります。プログラミングの授業はかなりボリュームのあるカリキュラムになっているために割高で、例えばプログラミングを系統立てて学ぶ授業(90分の授業が36回)は6098元(約9万2000円)です。それ以外の科目はだいたい合計6~12時間の授業となっており、値段は600~1700元(9000~2万5700円)です。中には、割引後の価格が49元(約740円)の体験授業など、格安のものもあります。

参考までに、中国の都市部の2019年の一人あたり平均可処分所得は4万2359元です。そのうち、教育文化娯楽への支出は3328元です。ここから、都市部の平均的な家庭にとってはプログラミングの正規コースは比較的高価で、49元の体験授業などは比較的安価で手が出やすいと考えられます。体験授業は市場価格に対してかなり安価に設定してあり、新規ユーザー取り込みに貢献しているのでしょう。

冬季講習のオンライン授業価格も比較してみましょう。


出典:智通财经

表中の6つの主要サービスの中で、猿輔導がコース料金(499元)・1時間あたりの料金(36元)ともに最安です。この授業は1000人規模の大型授業と少人数の補習授業を組み合わせたものです。

猿輔導の指導法としては、メイン講師とチューターの2人体制が特徴です。メイン講師はライブストリーミングで100~1000人の生徒に授業をします。チューターは授業前に補足をしたり、WeChatで授業内外での相談や質問を受けます。このスタイルでは、質の高い授業を提供するために質の高い講師を雇いながら、コストを下げる事ができるので、料金も安く抑える事ができ、収益化もしやすいという利点があります。特に猿輔導の提供する授業は市場価格に比べて安く、ユーザー拡大にポジティブに影響していると考えられます。

猿題庫

猿題庫は、高校受験や大学受験の過去問の一問一答クイズアプリです。中国の入学試験は地域ごとに問題が異なりますが、このアプリではすべての地域の問題がが網羅されています。

また、 アプリ上で問題を解くと、採点や解説を自動でしてくれる機能があります。採点結果はアプリ内に蓄積されるので、復習にも便利です。

実際の画面をみてみましょう。アプリを開くと真ん中に科目が表示されており(下図左)、ここから各科目の分野や単元を詳しく選択し(下図右)、問題集を解くことができます。ホーム画面には上と下に猿輔導や小猿搜題などの自社の他アプリの広告が差し込まれています。

ここでは英語の問題を選んでみました。英語の科目にはリスニング、ボキャブラリーなどの大きな分野わけがあり、さらに詳細な冠詞や代名詞などの単元を選べます。筆者は高校3年生として設定をしたので、ここで出題される問題は全国の高校の定期テストや大学入試で出題された過去問や模擬問題です。

ここでは冠詞の問題を選んでみます。問題は1回につき5問が自動的に生成されるしくみで、特定の単元で異なる問題を何度も練習する事ができます。問題は1問ずつ画面いっぱいに選択式問題が出題されます(下図左)。全問解き終わると、下図右の画面になり、「見せびらかす(炫耀一下)」というボタンが表示され、SNSでの結果のシェアを促されます。

自動採点が終わると、解答と解説をみることができます。下図左のように、手書きでメモを書き込んだり、キーボード入力でメモをとったりできます。また、下図真ん中の底にあるのは、「あなたの解答時間」、「アプリユーザーの平均解答時間」、「アプリユーザーの正答率」、「よくある誤答」です。これらは、一般的な参考書にはないデータであり、学習者も学習の参考にできるでしょう。下図右には問題の解き方が解説されており、下にはよくある誤答と、なぜそれが誤答であるのかが説明されており、自習でもスムーズに学習を進めることができると感じました。

また、マイページ(下図)というタブには問題演習の記録や、自身の誤答リストがあります。

誤答リストは以下のように、問題のタイプ別に自動で分類されており、復習がしやすくなっています。

猿題庫のアプリには、「猿輔導」というタブが存在し、ここから猿輔導のオンライン授業を購入することもできます。

終わりに

後編の記事では宿題解答検索アプリの小猿捜題、宿題添削アプリの小猿口算、AI授業の斑馬AI課を解説します。

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