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GET2019参加レポートNo.2ー新フェーズの中国EdTechを探ります(前半) - 中国EdTech #15

先週はざっくりとGET2019のポイントをお伝えしましたが、GET2019参加レポート第2,3回では、それぞれのポイントを、実際カンファレンスのスピーチやプレゼンなどを用いて詳しく解説していきたいと思います。
この紹介する4つのポイントを押さえると、これからの中国EdTechの動きが把握しやすくなると思います。

今回扱うトピック

  • 前回の復習:GET2019の4つのポイント
  • ポイント1:進むプラットフォーム化
  • ポイント2:AIはどのくらい活用できるのか?

前回の復習:GET2019の4つのポイント

詳しくは前回の記事をご覧いただければと思いますが、
今回のGET2019カンファレンスで筆者が一番印象に残ったのが、「中国EdTechが次のステージに入った」ということです。
その中でポイントなるのは以下の4点です。

  1. これまで展開してきたサービスをプラットフォーム化して、他の教育機関や公立学校に提供すること
  2. さらなるAIの活用を進めること。そしてAIの活用方法に関する議論の高まり
  3. 政府の進める高考(大学入試)改革と連動したサービスを開発すること
  4. 政府の反貧困政策のもとの双師授業の展開

それではそれぞれ、順番に見ていきましょう。

ポイント1:進むプラットフォーム化

一つは、大手教育企業だけでなく、EdTechのスタートアップも、これまで数年間展開してきたtoCサービスで培ってきたテクノロジーを土台に、サービスパッケージの開発・提供に力を入れています。
さらに、HuaweiやWeiboのような、それまでEdTechではそれほど注目浴びてこなかった他分野の大企業も、優れた技術と圧倒的なユーザーを背景にEdTech領域で頭角を現しし始めています。

スタートアップの戦略

例えば、これまでに紹介してきた企業では、例えばK12分野のまとめ記事で紹介した猿辅导が挙げられます。

ユニコーン企業でもある、猿補導がこれまで展開してきたのは、一問一答式問題アプリの猿题庫、解答検索サービス小猿搜题(スマホで宿題の問題の写メを撮るとその解答を検索できるサービス)、そしてオンライン家庭教師の猿辅导でした。
2019年11月に新しくリリースされたのが小猿口算、という自動添削サービスです。手書きの解答を画像認識で読み取り、自動で正誤を判定することができます。

現在はまだ小学校レベルの数学の添削に限定されていますが、それでも添削の正確度は99.9%に達していると言います。またもともとの手書き文字の認識技術は小猿搜题などから応用させたものと考えられます。
主なユーザーは教員で、プレゼンテーションでは現時点で12万箇所の小学校、100万人以上の学校教員がこのサービスを利用していると言っていました。

その正確さ、そして導入学校の数もすごいですが、これまで主に個人をターゲットにしてきた猿補導が、学校(教師)をターゲットにしたサービス展開に大きく舵を切ったと言えると思います。またこのサービスが導入されることで、教師の負担が軽減されるなどの効果が期待できますし、添削サービスと連動して、教材やアプリの販売も行なっていくとも予想できます。

下の図は、プレゼン中の画像で見づらいですが、小猿搜题の使用画面です。


*著者撮影。

他にも、カンファレンスのブースなどにも、ストリーミング技術を提供する企業が多かった印象があります。

他分野の大企業の参入

さらに他分野の大企業の参入も相継ぎます。

一つ目に紹介するのが、ハードウェア・通信機器大手Huawei。
Huaweiの教育分野での戦略は、クラウド技術を中心として、IaaS(Infrastracture as a Service)、PaaS(Platform as a Service)等、EdTechの根幹技術を教育関連企業に提供することです。
同時に、教育企業だけではなく、学校のICTマネジメント技術への応用も戦略に入れています。
下記の二つの図はそれぞれ、教育企業、学校との提携戦略を図時したものです。

教育産業に特化した企業ではない分,現場の細かなニーズに対応したサービスは展開していないとしても、ハードウェア企業とは思えぬほどの教育産業の見取り図を描いているのが印象的でした。

下の画像の1枚目がHuaweiのEdTechの見取り図、2枚目が学校に導入する際の戦略図となっています。


*筆者撮影。

二つ目が、ツイッターに似たsnsアプリを手がけるweiboです。
上記二つの企業とは異なり、weiboが展開するのは、snsを活用した学習動画プラットフォームです。
weibo上でフォロワーの多い人気講師が、自分の講義動画をweibo上で販売できる仕組みになっています。
従来の、例えばテンセント傘下の腾讯課堂のようなサービスに比べて、snsからそのまま利用できるので、かなり手軽にオンライン授業を受けることができますし、教師と生徒(フォロワー)のコミュニケーションもより活発に行うことができます。

なお、支払いはwechat payなどで決済するようです。

ポイント2:AIはどのくらい活用できるのか?

小猿口算の高精度の文字認識技術を使った添削サービスを紹介しましたが、
多くのプレゼンで目にしたのは、教育に関して、AIができることとできないことを見極めようとする議論でした。

下図は中国のEdTechで応用されている技術水準を示したものです。
第2回でも扱ったものですが、改めて見てみましょう。
学習管理・学習測定・授業補助に関わるサービスは、ある程度精度が上がり、ポイント1で見たようなプラットフォーム化が進みます。
一方、現在技術開発・応用が進められているのが、主にAIを使った学習の効率化・個人最適化です。

AIによって実現する、学習効果と効率の両立

その中でも特に多く見られた議論は、AIによって教育そのものが持つボトルネックを解消できる、という論法です。
教育の質が教師と生徒の人的な要素に大きく依存しているため、学習効果の高い教育は、それだけコストと時間がかかります。
そこでAIを上手に活用し、個人最適化学習が行えるようになれば、より低コストかつ短時間で同じ学習効果を得られるという論法です。

例えば2019年に最もEdTech投資を行った、北塔资本の王凯峰は下図を使って、AIxEdTechの可能性を語っていました。

*北塔资本のスライド資料より。

他にも好未来の総裁・白云峰のキーノートでも、AIの導入で一度に教えられる人数と学習効率を向上できると、その有効性説いています。

*筆者撮影

AIはどこまでできてどこまでできない?

一方で、AIがどこまでできるのかについて現状を正しく見極め、その中でいかに効率を高めることができるのか、という実践的な議論も多かったです。

例えば本ブログで繰り返し紹介してきた松鼠AIは、CEOの周伟が登壇し、個人最適化学習をいかに実現するか、その仕組みを解説しました。
以前よりもさらに、概念図が複雑化されています。おそらく学習個人最適化AIを作る中で、試行錯誤を繰り返しながら、より正確で効率的なものを開発しているのでしょう。

芥末堆より

変わり種でいえば、人間の脳の各部位とそれに紐づいた能力のそれぞれに対して、学習効果を高めるテクノロジー、という分け方なんかもありました。
下の図は、人間の脳を原始脳(主に快不快の感情を司る)、感情脳(やる気・達成感など)、そして前者二つに制限を加える理性脳(目標を立てる)の3つにわけ、それぞれに学習環境を整備するテクノロジー、授業のエンタメ化、AIの補助・学習経路設定をマッチさせるべきだとしています。

*筆者撮影。

さて、次回は政府が音頭を取る高考改革と反貧困運動の中で、EdTechがどのように盛り上げっているのかを見ていきます。

参考

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