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幼児教育サービスを解説!ー注目サービスと今後の3トレンド(後半) - 中国EdTech #10

第9、10回は、中国EdTechの幼児教育を前後半に分けて解説しています。
後半は、中国の幼児教育サービスの市場概観を簡単にまとめました。そのあと幼児教育サービス全体として3つの特徴を紹介します。最後に今後の展開を考えます。

今回扱うトピック

  • 急成長する幼児教育サービス
  • 中国幼児教育サービスの3つの特徴
  • 今後のトレンドは?

急成長する幼児教育サービス

市場規模は4億元?!

安徽省の証券会社 国元証券の2016年の統計では、家庭教育市場規模は目下、約2千億元、幼稚園市場は約1700億元、合わせて幼児教育市場は約3700億元とされています。

2018年には幼児教育市場全体では4565億元の規模に達していたとされています。これは日本円で7兆円ほど、日本国内のコンビニ市場と同程度の規模です。
またコンサルティング会社 极光大数据の統計によると、幼児教育アプリの利用率は上昇しており、2018年末には、ユーザー数は124万人、利用率は11.32%でした。

中国幼児教育サービスの3つの特徴

市場の外観を踏まえた上で、続いて中国の幼児教育サービスの3つの特徴を紹介します。

1つ目はエンターテイメント性が高いことです。
特に童謡や知育ゲームを提供する幼児むけアプリには、エンターテイメント性・ゲーム性が強いものが多いです。
集中力のない幼児をでも利用しやすくするためにはこうした工夫が戦略上必要となります。
しかし、エンタメ性の強いアプリの開発にはコストがかかる一方で、幼児むけアプリは市場価格が比較的安いため、収益を上げるのが難しいという難点もあります。

2つ目は若い女性のユーザーが多いことです。

上図からもわかるように、幼児向けアプリのユーザーは26-35歳の女性が中心であることがわかります。
子ども向けサービスの特徴として、使用者(=子ども)と購入者(=母親)が一致しないという点が挙げられますが、教育熱心かつインターネットにも慣れた母親層をいかに満足させるのか、という点が幼児向けアプリにとっては重要です。

3つ目は地方都市に住むユーザーが多いことです。
K12サービスや語学学習サービスは、北京・上海などの大都市に普及した後で、徐々に地方都市に広がっていきましたが、下図を見ると幼児向けサービスは三線・四線都市(* 中国で地方の小都市を指す言葉です)の地方都市のユーザー比率が高いことがわかります。

 

上でも既に述べましたが、その背景としては、中国では0歳から3歳の児童を預かる公的施設(日本で言う保育園やこども園)が整備されていないことが挙げられます。
もともと計画経済期には、国営企業内に保育組織が兼ね備えられていました。しかし、社会主義市場経済に移行するにあたって、国営企業の多くが解体され、それに伴って、同時に企業内の保育組織も崩壊しました。
そのため現在も託児所(0-3歳)の整備は需要に追いついていません。政府も法律の整備を進め、民間の事業者の参入を促進しようとしていますが、費用が高く、また保育士も不足していることから、多くの家庭では家庭内で幼児教育を賄う必要があると考えられます。

今後の3つのトレンド

最後に中国の幼児教育に関して、今後の課題とトレンドを紹介します。
1つ目はカリキュラム構造の標準化です。
子ども向けサービスの特徴として、使用者(=子ども)と購入者(=母親)が一致しないという点については触れましたが、母親を納得させるためにも、ただ子供がアプリを利用すれば良いというだけでなく、このアプリをどこまでやるとどういう能力がどれほど高まるのか、と言うカリキュラムを設定し、それに見合った学習内容を実装させることが重要となります。

2つ目は黒字化の工夫です。
中国の幼児教育の特徴の項でも触れましたが、エンタメ性の強いUIの開発や、サービスの料金が低いこともあり、利益を上げるのことが難しいというのが現状です。
本記事で紹介した凯叔讲故事や宝宝树など、アプリを通したユーザーの獲得とEC事業など関連産業との組み合わせによる方法や、小伴龙のように徐々に定額ユーザーを獲得していく工夫が必要になっていきます。

3つ目に考えられるのが、託児所や幼児教育センターとの連携です。
小步など、既存の民間事業者のサービスの代替として家庭教育補うサービスが登場しています。一方で中国全体では共働き家庭が増加すると同時に託児所と保育士の不足が問題視されており、家庭教育にだけでなく、公的・民間セクターによる幼児教育が必要とされています。そうした流れの中で、オンラインで教材を提供したり、育児ノウハウを提供するアプリを活用することも可能であるように思えます。


参考

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