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K12分野を徹底解剖!ー今後の展開と注目サービス - 中国EdTech #3

第3回では、中国EdTechで一番盛り上がっているK12分野について解説します。
K12分野の中ではどのようなサービスがあるのか、大きく3つのグループにまとめてマッピングして解説します。
同時に代表的なサービスの内容を紹介していきます。

今回扱うトピック

  • K12教育分野のポテンシャル
  • K12を3つ分類して紹介
  • 今後のトレンドは?

K12教育分野のポテンシャル

2017年以降の爆発的な成長

第2回の記事の記事でも書いたように、今後中国EdTech市場全体が大きく成長していく中で、その後押しとなるのはK12分野です。
下図は、艾瑞咨询による2012年から2022年までのK12分野の市場規模の推移です。

これをを見ると、2017年以降、爆発的に成長を遂げることがわかります。
現在は学校の授業の拘束時間が長いことや、小規模塾が多いことから、EdTech市場全体でK12分野が占める割合は10%を切っています。
一方で中国の教育産業は優秀な教師は都市に集中するなど、地方と都市の教育格差などの問題を抱えています。
安定した生活へのチャンネルとして多くの家庭が子供の教育に熱心なこともあり、技術の向上とともにEdTechサービスの質が向上していく中で、今後の成長が見込まれます。

スタートアップも増加する一方で、大手塾の新東方や好未来などもサービス開発や投資を通してK12分野のEdTechに大きく進出しています。

K12分野を3つに分類して紹介

K12サービス分類図

中国EdTechのK12分野の具体的なサービスをまとめてみました。

K12分野では、大きく分けると

  • 学習ツール
  • 講義動画配信(オンライン家庭教師/ビデオ学習教材/オンライン講義/学習動画プラットフォーム)
  • 双師授業

の三つの形式に区別されます。
以下ではそれぞれのサービス形式ごとにどのようなサービスがあるのか、具体例を交えつつ解説していきます。

学習ツール

学習ツールとは、学習者の学習の補助をするサービスです。講義動画配信サービスなどの授業形式とは異なり、あくまでも学習者のツールとして使われるサービスです。中国では主に以下の二つの形式が主流となっています。料金は無料のものが大半です。
オンライン家庭教師やオンライン講義サービスと連携しているものが多く、ユーザーの確保にも繋がっています。

(1)一問一答形式のアプリ

各学年・各教科ごとの一問一答式のクイズアプリです。

  • 代表的なサービス:猿題庫

(2)宿題の回答を探すサービス

宿題の写真をとって検索すると、解法・回答を教えてくれるサービスです。

  • 代表的なサービス:小猿捜題、作業帮、一起作業

サービス例:作業帮

作業幇も中国EdTechユニコーンの一つで、2018年10月に5億ドルのEラウンド融資を受けています。宿題管理サービスと宿題の解答検索サービスを提供しています。画像検索や音声検索を使って、宿題の中で難しい問題の解答を探す仕組みです。また後ほど紹介する作業帮一課というオンライン講義のサービスとも連携しています。
下の写真は、実際に作業幇で数学の問題の解答を検索している様子です。

出典:百度経験

講義動画配信

講義動画配信サービスは録画/ストリーミングで講義を配信する形式をとるサービスです。日本のサービスで言えば、スタディサプリなどが分かりやすいでしょう。
その中でも大まかに4つのグループがあります。

(1)オンライン家庭教師

これは複数名の生徒向けのオンライン講義とは異なり、教師と生徒が一対一で授業をする形式です。

  • 代表的なサービス:学而思網校、新東方在線、掌門1対1、学霸君1对1、阿凡题1对1、松鼠AI1对1など
  • 価格:一授業100〜200元。

サービス例:松鼠AI

第二回の記事でも扱いましたが、松鼠AI 智适应教育は大手塾の新東方や好未来も投資するEdTechベンチャーです。
このサービスは、他の1对1の授業よりも、よりAIによる効率化・個人最適化を目指しているのが特徴です。
生徒は授業前にオンラインで独自教材による学力測定を行い、問題の正誤、問題を解く際の視線やペンの動きなどをもとに集計されたデータに基づいて弱点を把握します。
それぞれの問題はさらに細かいナレッジノードに結び付けられており、一つ一つの弱点に合わせて、それを補えるような教師とのマッチングを行い、ストリーミングで1対1の授業を行います。
こうした仕組みをとることで、個々人の到達度に合わせた、より効率的な学習を行うことができます。

(2)ビデオ学習教材

ここで挙げるビデオ教材サービスは、上記二つのサービスと異なり、講師による授業と言う形式ではなく、あくまでオンラインの教材としてビデオ形式を利用しているものです。
例えば天天練では、1トピック数分のミニオンライン講義と一問一答式のオンライン教材が一体となったサービスです。
下の画像は実際の天天練のビデオ教材の画面です。この教材では幼児向けに数字とその使い方を教えています。

出典:騰訊視頻

  • 代表的なサービス:楽楽课堂の天天練、洋葱数学など

(3)オンライン講義

ライブストリーミング/録画の授業で教師の授業を複数人の生徒を対象に配信するタイプです。こちらは次に紹介するの学習動画プラットフォームとは異なり、自社の教師による講義をビデオ形式で提供するサービスです。

  • 代表的なサービス:好未来の学而思網校、新東方の新東方在線、猿補導、作業幇の作業幇一課など
  • 価格:一学期15回ほどのクラスで500元〜2000元。30〜60人の少人数クラスや、学習管理を行う補助教師がつくサービスは価格帯が高くなります。また数回の集中講義などもあります。

サービス例:猿補導

猿補導は、中国EdTechユニコーンの一つで、2018年12月に3億ドルのEラウンド投資を受けたばかりです。
もともと一問一答式問題アプリの猿题庫、解答検索サービス小猿搜题と言う学習補助サービスから出発し、そこからユーザーを囲い込むビジネスモデルをとっています。
授業は大人数向けのライブストリーミングが中心で、価格が低いため、大都市だけでなく、地方都市のユーザーが多いことが特徴です。
下の画像はPR動画の授業風景です。PCの画面上に問題が映る部分と、教師・生徒のビデオ通話ができる部分に分かれています。

出典:騰訊視頻

サービス例:作業幇一課

上でも紹介したように、作業幇はもともと解答検索サービス・宿題管理サービスを行なっており、全国の38万の小中学校で利用されています。そうした膨大なユーザーとデータを元に作業幇が展開しているオンライン講義サービスが作業幇一課です。
同様に、1対1のオンライン家庭教師サービスも展開しています。

(4)学習動画プラットフォーム

主にインターネット大手企業が展開しているサービスで、発信力のない教育機構や個人と学習者を結ぶプラットフォームを提供します。
K12教育に限るわけではなく、成人教育分野、語学学習分野など、幅広い分野をカバーしています。

  • 代表的なサービス:テンセント傘下の腾讯課堂、沪江傘下のCCtalk
  • 価格:無料〜(個々の教師による)

双師授業

双師授業とは、オンライン講義と、オフラインでの補助を組み合わせた形式のサービスです。ライブストリーミングで教師が授業をする間/後に、オフラインの補助教師が生徒の学習の補助を行います。
またこのグループはさらに2種類に分けることができます。
なお、両者とも代表的なサービスはすでに大規模に塾を展開しており、オフラインでの応用がスムーズに行える大手塾が提供しているものです。

(1)自社の教師による授業を行うもの

  • 代表的なサービス:新東方の双師東方

(2)toB向けのオンライン講義配信授業サービスプラットフォームを提供するもの

  • 好未来の未来魔法校、高思教育の愛学習

サービス例:双師東方

新東方は中国のオフライン塾の大手で、本記事でも取り上げた新東方在線などのサービスも展開しています。双師東方はその新東方のサービスで、オフラインの教師教育ノウハウを利用して、補助教師を訓練し、特に優秀な教師が集まりにくい地方都市でも、質の高い授業とサポートを提供できる仕組みです。
下の画像は実際の授業風景です。

出典:芥末堆

今後のトレンド

正直、授業内容に関しては似たり寄ったりのサービスが多い中、いかに学習内容・学習プロセスの基準を作り、学習を効率化できるかが焦点になりそうです。

またK12教育は学習者=生徒と、サービス購入者=親が異なることもあり、特に子育てに力を注ぐ中国の親の期待に応えることができる/親が効果を認識しやすいサービスが重要となります。

さらに一線都市と呼ばれる大都市では市場が飽和してきた中で、今後はいかに地方都市(二線都市、三線都市)に展開できるかも重要な点になってくるでしょう。双師授業等、教師の質の確保が難しい地方都市にEdTechがどのような活用されていくのかがポイントです。


参考

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