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現状はどんなサービスが主流なの?- 今後の3つのトレンドとは? - 中国EdTech #2

一言で と言っても、対象年齢や学校外/学校内など領域の違いによって大まかに7つのグループがあります。
ここでは、その中国のEdTechにおける分野を紹介し、それぞれの分野を簡単に紹介します。
そして分野ごとの市場占有度と技術水準から中国EdTechの現状を解説し、今後の3つのトレンドを解説します。

今回扱うトピック

  • 中国EdTechの7つの分野
  • 中国EdTechの現状との3つの特徴
  • 今後の3つのトレンド

中国EdTechの7つの分野

下記の図は艾瑞咨询のまとめた中国EdTechの分野の分類です。
図を見ると、中国のEdTechは大きく分けて7つの分野:

  • 早期幼児教育
  • K12教育
  • 高等教育
  • 職業訓練
  • 語学学習
  • 素質学習(STEAM教育)
  • 学校向け情報技術サービス

で構成されていることが分かります。

各分野のサービス形態

それでは、具体的に各分野にどんなサービスがあるのか、その概観を見てみましょう。

1. 早期幼児教育

幼稚園に入学する前の幼児向けの早期教育サービスです。
多くは、知育教材型の童謡や絵本のアプリ、幼児を持つ親向けのオンラインコミュニティがあります。他には幼児向けの英語教育や数学教育を行うサービスもあります。

ex) babybus 宝宝巴士 / babytree 宝宝树

2. K12教育

小学校~高校生までを対象に、主に学校の補習/試験対策を目的とした教育サービスです。
多くは、ビデオ授業からストリーミングを利用した一対一の授業形式、あるいはオンライン講義配信です。それ以外には、一問一答アプリや宿題の回答を探すことができるサービスなどがあります。1

ex) Yuanfudao 猿辅导 / 掌门1对1 / 学而思网校 / 松鼠AI 1对1 / 作业帮 一课 / 学霸君1对1 / 阿凡题

猿辅导授業風景 
出典:騰訊視頻

3. 高等教育

大学生向けの資格試験・大学院試験・留学対策のオンライン講座、大学の講義を受けることができるMOOC等が一般的です。

ex) 尚德机构 / 弘成教育 / 学堂在线 / 中国大学MOOC

4. 職業訓練

成人向けのプログラミングのオンライン講座、会計士・教職・公務員試験・司法試験対策のオンライン講座などがあります。

5. 語学学習

中国では留学志向が強いこともあり、就学前から大人まで、語学(特に英語)の学習が盛んです。
海外の英語のネイティブスピーカーと一対一で会話をするオンラインサービスが多くを占めます。その他には幼児向けのビデオ学習サービスなどが存在します。
ここでは対象年齢に関係なく、語学学習は分けて分類しました。もともとそれ自体として十分に市場が大きいと判断したためです。
ただし、受験用の英語学習はK12教育に含めて考えます。

ex) VIPKid / 51talk / DaDaABC 哒哒英语 / 新东方多纳 / 沪江网校

VIPKID授業風景
出典:VIPKID

6. 素質教育

中国では一般に応試教育(テストのための勉強)と反対の概念として「素質教育」という言葉が使われます。
具体的にはSTEAM教育(プログラミング、数学、アート等。中国ではメイカー教育という言葉も使われます)だけでなく、国語(中国語)や将棋、 ダンスや運動も含まれます。
現在はオンラインの授業で教えやすいものからサービスとして展開されています。
また素質学習に関しては、政府の先導の下、公立学校と民間企業が協力する事例も出てきています。

ex) 编程猫 / 编玩边学 / 美术宝一对一

美术宝一对一授業風景
出典:美术宝一对一

7. 学校向け情報技術サービス

学校向け情報技術サービスとして、主に公立学校を対象にしたサービスがあります。主に、学校の運営やカリキュラムを管理するサービス、授業課題や授業方法の共有プラットフォーム、宿題管理サービスなどが挙げられます。

ex) 一起作业 / 作业盒子 / 校宝在线) / 立思辰 / 百度优课 / 腾讯智慧校园

中国EdTechの現状と特徴

大人向けサービスが全体の7割

中国EdTechの特徴の一つとして、成人・大学生向けの職業教育や語学学習サービスから先に発展してきたという点が挙げられます。
下のグラフを見てもわかるように、2018年時点でも、成人・大学生向けのサービスは全体の約7割を占めています。

考えられる要因としては、

  • 購買力のある成人・大学生を対象にしたこと
  • 朝7時から夜9時近くまで授業が行われるなど、学校の拘束時間が長く、小中高生が学校外で自ら補習サービスを受ける余裕がなかったこと
  • これまでの技術水準では通常の学校教育に比べ、オンライン教育の教育効果が低かったこと

などが考えられます。

学校外のサービスが中心

K12などを含めても、学校内向けのサービスと比べて学校外のサービスが大きく発展していることが挙げられます。
オンライン講義のような補習型のサービスや語学学習サービスと比べ、授業の補助を行うようなサービスや学校向け情報技術サービスの提供が進んできませんでした。

応用されている技術水準は?

現在オンライン教育産業で応用されている技術は、クラウド技術、音声認識、画像認識、自然言語処理、機械翻訳、ナレッジグラフ等多岐にわたります。
具体的な応用としては以下のものが挙げられます。

大きく分けると、カリキュラム作成や表情測定などの学習管理、主に英語に使われるスピーキング測定などの学習測定、宿題の自動配布・自動採点などの授業補助などへの応用が進んでいます。
一方で、個々の生徒の学習計画の自動作成などの個別最適化を行うような、学習の根幹に関わる部分への技術の応用は、未だ試行錯誤の段階です。今後AIやナレッジノードの開発が進むにつれ、徐々にこうした部分も自動化されていくと考えられます。

今後の3つのトレンド

K12分野の成長

資格試験や英語学習の人気から大学生・社会人向けのサービスのオンライン化が20%を超えている一方で、18歳以下の教育のオンライン化は未だ10%に達しません。
逆に言えば、以下の二つのグラフを見てもわかるように、今後中国EdTech市場全体が成長する中で、その成長を最も後押しするのはK12教育分野と言えます。

中国の教育産業は優秀な教師は都市に多いなど、地方と都市の教育格差などの問題を抱えています。安定した生活へのチャンネルとして多くの家庭が子供の教育に熱心なこともあり、技術の発展とともにEdTechサービスの質が向上していく中で、K12分野の今後の成長が見込まれます。

AIによる学習の効率化

現状の中国EdTechサービスの技術では、最終的に人間の教師の能力に依存する点が強く、技術の応用も優秀な教師をいかに効率的に生徒とマッチングさせるか、という点がメインになっています。
一方で下で例に出した松鼠AIのようにAIによる教育の個人最適化と効率化が進めば、安価に、教師の能力に依存せずに高い学習効果が見込まれるようになります。こうしたサービスが増えれば、オンラインの教育サービスを利用するユーザーはますます増加するでしょう。

例:松鼠AI

松鼠AIは教育大手の新東方,好未来なども出資しているEdTechベンチャーです。
このサービスは、通常1对1オンライン授業よりも、よりAIによる効率化・個人最適化を目指しているのが特徴です。簡単に言えば、日本のatama+の類似サービスです。
生徒は授業前にオンラインで独自教材による学力測定を行い、問題の正誤、問題を解く際の視線やペンの動きなどをもとに集計されたデータに基づいて弱点を把握します。
それぞれの問題はさらに細かいナレッジノードに結び付けられており、一つ一つの弱点に合わせて、それを補えるような講義動画の提供を行い、さらに不明な点に関しては教師とのマッチングを行い、ストリーミングで1対1の授業を行います。
こうした仕組みをとることで、個々人の到達度に合わせた、より効率的な学習を行うことができます。

URL: 松鼠AIHP

行政との連携

最近は中国政府もEdTechによる学習のIT化・効率化や素質学習(STEAM学習)を推進しており、その流れの中で今まで民間企業が入り込みにくかった公立学校へのEdTechの導入が進められることも期待できます。中国の小中高のほとんどが公立の学校ですが、行政の先導で民間企業とどのような共同事業が行われることになるのか、注目です。
また宿題の配布・採点、教師・生徒の出欠管理やカリキュラム作成などの学校のマネジメントを行うサービスも登場しています。

例:17zuoye(一起作業)

一起作業は中国EdTechユニコーンの一つで、2018年にはEラウンドで2.5億ドルの投資を受けています。
このサービスは公立学校を対象にしたオンラインの宿題プラットフォームサービスで、すでに全国6万の学校にサービスを提供しています。
主に教師への宿題のレコメンドと、生徒の宿題の配布・管理・採点を行います。
また宿題管理サービスで獲得したユーザーを対象に、オンライン授業サービスなども展開しています。

URL: 一起作業HP



[1]: アメリカではK12教育というと義務教育が開始するKindergarden(日本でいう幼稚園年長)から High schoolの12th grade(高校3年生)までを指しますが、中国では一般的にK12というと、義務教育の始まる小学校〜高校までを指します。

参考

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